日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナ突然変異体<fl51>を用いたがく片及び花弁の発生機構の解析
*八木 慎宜武田 征士松本 任孝岡田 清孝
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 077

詳細
抄録
 シロイヌナズナの花では、外側から順にがく片、花弁、雄ずい、心皮の4種類の器官が配置し、それぞれ同心円状領域(whorl)内の決まった位置に形成される。これらの花器官はそれぞれ特徴的な形態をもつ。各花器官の形成位置や形がどのようにして決まるかについてはほとんど知見がない。花器官の形を決める分子機構を明らかにするため、がく片と花弁の形に異常を示す<fl51>突然変異体を用いた解析を行っている。
 <fl51>突然変異体は花器官のアイデンティティに変化は見られないが、がく片が細長くなる。走査型電子顕微鏡を用いた観察から、原基形成の初期でがく片原基が縮小しており、形成位置がずれていることが分かった。さらに4枚のがく片原基が花芽を覆う時期には、各がく片の間に野生型では見られない隙間が生じていた。これらのことから、<FL51>遺伝子はがく片の原基形成に関与すると考えられる。また、<fl51>突然変異体では、がく片に加えて花弁も細長く成長する傾向が見られた。ポジショナルクローニングにより原因遺伝子の同定を行ったところ、<FL51>遺伝子はスプライソソーム構成タンパク質をコードすることが分かった。本発表ではこれまでの解析と<FL51>遺伝子の発現解析について報告する。また<FL51>遺伝子のがく片及び花弁の発生における役割について考察する。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top