日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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維管束形成初期過程で働く遺伝子の同定及び機能解析
*名川 信吾澤 進一郎佐藤 修正加藤 友彦田畑 哲之福田 裕穂
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p. 084

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抄録
維管束形成初期過程の分子機構について明らかにするために、GUS をレポーターとしたシロイヌナズナのジーントラップラインを用いたスクリーニングを行ってきた。そして、維管束幹細胞である前形成層が染色されるライン(3ライン) 及び維管束に特徴的な発現パターンを持ち維管束パターンや維管束の連続性に異常が見られるライン(3ライン)を単離した。これまでに前者の原因遺伝子をクローニングし、それぞれ葉酸代謝に関わる GGH 遺伝子、タンパク質のユビキチン化に関与しうるRING finger 遺伝子、及び機能未知の遺伝子であることを明らかにした。今回新たに後者のラインの原因遺伝子を同定したので報告する。後者の遺伝子はそれぞれ脂質の水酸化に関与しうるCYP86 遺伝子、微小管切断活性の知られているAtKTN 遺伝子、及び機能未知の遺伝子であった。また、遺伝子発現を詳細に解析したところ、前者の各遺伝子、及びAtKTN 遺伝子については葉身や胚軸の未成熟な維管束系、前形成層及び茎頂分裂組織周辺にGUS 活性が検出される点が共通していたものの、維管束分化を連続的に観察出来る根端領域における発現パターンには差が見られた。こうした遺伝子発現の解析より、維管束分化を前形成層細胞の個性の獲得とその後の維管束細胞への分化という段階的な過程として捉え、得られた遺伝子の働く時期を特定出来ることが明らかとなった。
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© 2005 日本植物生理学会
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