日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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エンハンサートラップ法を用いた維管束形成初期で働く遺伝子の探索と解析
*堺 彩子佐々木 智行槻木 竜二岡田 清孝
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p. 083

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抄録
維管束は前形成層と呼ばれる幹細胞から形成される。維管束のパターンは前形成層のそれに一致するので、前形成層が形成される初期過程を理解することが、維管束パターン形成の仕組みを知る上で必須だと考えられる。しかしながら、未分化な細胞が前形成層へ分化する初期段階で働く遺伝子はほとんど同定されていない。私たちはエンハンサートラップ法を利用してシロイヌナズナの前形成層分化の初期段階で発現する遺伝子を同定し、それら遺伝子の機能を逆遺伝学的に解析することを進めている。 GFP をレポーター遺伝子とするエンハンサートラップ T-DNA コンストラクトを用いて、これまでに、 T1 形質転換体約 20,000個体から維管束や前形成層に GFP 蛍光が観察される系統を 367 単離し、 36系統で T-DNA 挿入部位を同定した。挿入部位近傍には、転写因子、タンパク質分解系関連遺伝子、 AUX/IAA family 遺伝子などの遺伝子が存在した。 GFP が根端の維管束始原細胞付近や葉脈の前形成層で発現する系統に着目し、挿入 T-DNA と GFP 発現パターンの連鎖解析を進めている。連鎖確認後は、 T-DNA 挿入部位に隣接する遺伝子のプロモーター::GFP ( GUS )を構築し、形質転換して、原因となる遺伝子の特定を進める予定である。上記系統及び新たに単離された系統について、 GFP 発現パターン、同定した T-DNA 挿入部位、 GFP 発現と T-DNA の連鎖解析等を報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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