日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

18O/13C標識を利用したサイトカイニン生合成経路の解析
*笠原 博幸上田 七重武井 兼太郎菱山 正二郎浅見 忠男山谷 知行榊原 均神谷 勇治山口 信次郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 095

詳細
抄録
サイトカイニンは植物の増殖・分化誘導因子として古くから知られてきたが、近年その生合成経路の全容解明が著しく進んでいる。我々は植物のイソプレノイド生合成における色素体のメチルエリスリトールリン酸(MEP)経路と細胞質のメバロン酸(MVA)経路の役割について追究しており、MEP経路下流のイソプレノイドの生合成研究の為にシロイヌナズナを用いて選択的な同位体標識システムを構築した。この標識システムとMVA経路標識システムを組み合わせることにより、trans-ゼアチン(tZ)型サイトカイニンのプレニル側鎖が主にMEP経路から、またcis-ゼアチン(cZ)型の側鎖がMVA経路からそれぞれ合成されることを報告した。今回、我々は自然界でアグロバクテリアの感染により形成が誘導されるクラウンゴール中に、この植物型とは異なるtZ生合成経路が存在することを証明した。即ち、このバクテリア由来のTmrタンパク質が色素体に移行し、宿主のMEP経路中間体のヒドロキシメチルブテニル二リン酸から新しくバイパスを形成してtZ型を直接合成することを18O標識化により示した。また、オーキシンによるサイトカイニン生合成の調節機構について最近明らかにされてきており、我々もこの標識システムを用いて検討中である。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top