日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ノックアウトイネを用いたスターチシンターゼSSIIIa型変異体の単離と機能解明
*藤田 直子吉田 真由美斎藤 かほり宮尾 安藝雄廣近 洋彦中村 保典
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p. 110

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抄録
イネのスターチシンターゼ(SS)には10種類ものアイソザイムが存在する。このうち、機能が解明されているのはアミロース合成に関わるGBSSI、我々がTos17ノックアウトイネから変異体を単離したSSIおよびインディカ米、ジャポニカ米のアミロペクチンの構造比較から明らかになったSSIIaのみである。トウモロコシでは登熟胚乳中の最も活性が高いSSはSSIとSSIIIである。SSIIIの変異体であるdull-1が古くから知られていたが、イネにおいてはトウモロコシのdull-1に相当する変異体が見つかっておらず、その機能は解明されていない。我々は、イネSSI変異体の単離に引き続き、同じノックアウト集団(約4万系統)からSSIIIa変異体を選抜し、その解析を行った。
 得られたSSIIIa変異体は、Tos17がエキソン1に挿入されたものであった。登熟胚乳の可溶性画分のNative-PAGE/SS活性染色を行うと、SSIバンドに加えて非常に移動度の遅い部分にバンドが検出される。SSIIIa変異体ではこのバンドが完全に欠失していたことから、これがイネにおけるSSIIIaバンドであることがわかった。SSIIIa変異体の胚乳アミロペクチンは、野生型に比べて、DP6-8, 17-18, 31-70が低下し、DP10-15, 20-29が増加していた。イネにおけるSSIIIaの機能について、議論する。
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© 2005 日本植物生理学会
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