日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ミヤコグサのカルコンポリケチド還元酵素遺伝子の構造と機能
*嶋田 典基佐藤 修正中塚 貴司中村 保一西原 昌宏三柴 啓一郎山村 三郎田畑 哲之綾部 真一青木 俊夫
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p. 114

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抄録
 マメ科植物に特徴的な 5-デオキシ型フラボノイドの生合成には,カルコン合成酵素 (CHS) とともにカルコンポリケチド還元酵素 (PKR) が必須である.CHS に対する広範囲な研究の一方で,PKR 遺伝子の構造と機能に関する詳細な知見は得られていない.そこでモデルマメ科ミヤコグサの PKR 遺伝子について解析を行った.
 縮重プライマーを用いた PCR により 2 種の PKR cDNA 断片を得た.この配列を用いた TAC ライブラリーのスクリーニングにより,4 遺伝子 (PKR1-4) が 58 kb の範囲に存在することが明らかになった.PKR3 はその構造から偽遺伝子であると考えられた.特異的プライマーを用いた発現解析により,PKR4 は定常的に発現していること,PKR1PKR2 はミヤコグサの防御応答を引き起こすエリシター (還元型グルタチオン) 処理により発現が一過的に誘導されることが示された.これは PKR1, PKR2 のシス領域に,植物の防御応答に関わるモチーフ (W-box) が存在することと一致する.全長 PKR1 をコードする cDNA を導入したペチュニアでは花色に変化が見られた.これらでは PKR 転写産物が蓄積しており,フラボノイド成分を分析したところ,アントシアニンの減少と 6'-デオキシカルコンが確認された.
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© 2005 日本植物生理学会
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