抄録
高等植物において、ポリプレノールやドリコール等のZ,E混合型ポリイソプレノイドは、炭素数50-60、70-120という多様な鎖長分布で豊富に存在していることが知られているが、これらの生理的意義については不明な点が多い。我々はZ,E混合型ポリイソプレノイドの生理機能を明らかにすることを目的として、これらの基本骨格生合成を触媒するシス型プレニルトランスフェラーゼ(CPT)のcDNAをシロイヌナズナより6種単離し機能解析を行ってきた。本発表では、AtCPTファミリーのなかでもAtCPT4の機能解析を行った結果について報告する。
酵母で発現させたタンパク質を用いたアッセイの結果、AtCPT4以外のAtCPTファミリーは炭素数75-110の長鎖ポリイソプレノイドを合成する活性を示したが、AtCPT4だけが炭素数50-65の中鎖Z,E混合型ポリイソプレノイドを合成する活性を示した。AtCPT4のDsトランスポゾン挿入変異株を解析した結果、長日条件で葉柄、胚軸が野生形より長くなる表現型を示した。一方で、暗所生育の場合は野生形と比較して有意な差は観察されなかった。また、AtCPT4遺伝子の発現は暗所下で抑制されており、光照射によって迅速に誘導されることが分かった。これらの結果から、AtCPT4とその反応生成物である中鎖Z,E混合型ポリイソプレノイドが光応答の成長制御に関与している可能性が示唆された?