日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコ培養細胞BY-2を用いた植物オルガネラDNAポリメラーゼの研究
*酒井 敦小野 友里子武智 克彰滝尾 進高野 博嘉
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p. 172

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抄録

我々はタバコ培養細胞BY-2からバクテリアのDNA ポリメラーゼ Iと相同なタンパク質をコードする遺伝子を二つ(NtpolI-like 1およびNtpolI-like 2)単離した。両遺伝子産物はいずれも分子量128kDa、アミノ酸レベルで互いに97.2%相同であり、122kDaに切断されて色素体に局在すると推定された。また、大腸菌内で発現させたNtpolI-like2のDNAポリメラーゼドメインはin vitroでDNA ポリメラーゼ活性を示し、その性質は単離色素体核(核様体)中に存在するDNAポリメラーゼの性質と一致した。これらの結果から、NtpolI-like 1/2遺伝子産物は、いずれも色素体で働くDNAポリメラーゼであることが強く示唆された。しかし、作成したNtpolI-like2に対する抗体を用いたウエスタン解析の結果、単離色素体核だけではなく単離ミトコンドリア核中にも抗体によって認識される分子量約120kDaのタンパク質が存在することが明らかになった。この結果は、NtpolI-like1/2遺伝子産物のどちらか、または両方がミトコンドリアでも機能しているか、あるいはそれに極めて類似したミトコンドリア型DNAポリメラーゼが存在することを示し、植物のミトコンドリアと色素体のDNAポリメラーゼは互いに酷似しているという我々のこれまでの主張に合致する。現在、NtpolI-like1/2遺伝子産物の細胞内局在、ならびに両オルガネラに存在するDNA ポリメラーゼの異同について、さらに検討を進めている。

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© 2005 日本植物生理学会
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