日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

葉緑体形質転換法を用いた葉緑体シグマ因子AtSIG5の機能解析
*野添 幹雄石崎 陽子角山 雄一坪倉 由記中平 洋一椎名 隆
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 173

詳細
抄録
シグマ因子は、葉緑体のバクテリア型RNAポリメラーゼ(PEP)のプロモータ認識因子として働く。我々は、シロイヌナズナの葉緑体シグマ因子AtSIG5が、光応答プロモータpsbD LRPを特異的に認識するシグマ因子であることを明らかにしてきた。本研究では、 AtSIG5を過剰発現する核形質転換タバコと葉緑体形質転換タバコを作成し、葉緑体遺伝子転写への影響を解析した。いずれの形質転換体でも、psbD LRPからの転写産物量は、AtSIG5の発現量に依存して増大していたが、AtSIG5の発現レベルが格段に高い葉緑体形質転換体において、最も顕著なpsbD LRPの活性化が見られた。興味深いことに、AtSIG5大量発現葉緑体形質転換体では、葉が非常に早く退色した。核形質転換体ではこのような表現型は認められなかった。葉緑体遺伝子の転写産物量を調べると、葉緑体形質転換体では、psbDpsaAndhDなどが増大する一方、psbBrrn23などの一部のPEP依存遺伝子の発現量が大きく減少していた。これは、AtSIG5大量発現により生じたシグマ因子間の競合作用に起因すると考えられる。本研究の成果は、核コード葉緑体蛋白質の機能解析において、葉緑体形質転換法を用いることの有効性を強く支持している。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top