日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケ硝酸イオン能動輸送体遺伝子群の窒素源による発現制御
*辻本 良真山崎 秀将前田 真一小俣 達男
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p. 181

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抄録
 硝酸イオンの取り込みは硝酸同化経路の最初に位置し、経路全体の律速段階となっている。我々は、相同組み換えによる遺伝子機能解析が容易に行えるセン類ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)を材料として硝酸イオン輸送に関する解析を行っている。NRT2は硝酸イオン能動輸送体の本体であると考えられており、既に5つの遺伝子を同定している。クラミドモナスにおいては一部のNRT2の機能発現にNAR2と呼ばれるタンパク質が必須であるとされていることから、本研究ではまずヒメツリガネゴケにおいてNAR2のホモログをコードする遺伝子を3個同定した。次にこれらの硝酸イオン輸送系遺伝子群の窒素源による発現制御の解析を行った。アンモニア培地から硝酸培地または亜硝酸培地に移した場合の発現を比較したところ、両者に差が見られた。このことは、硝酸同化系遺伝子群の発現は硝酸イオンだけではなく亜硝酸イオンによっても誘導されることが明らかになった。亜硝酸イオンによる誘導機構は他の生物においてよく研究されている硝酸イオンによる誘導機構とは異なるものであることが示唆された。また、5つのNRT2と3つのNar2はこれらの発現誘導を強く受けるものと、誘導の効果が比較的弱く窒素欠乏で発現するものという2つのグループに分類されるということを見出した。それぞれの機能の違いについて考察する。
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© 2005 日本植物生理学会
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