日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻 Synechococcus sp. PCC 7942 の硝酸イオン輸送体欠失変異株の疑似復帰変異株の解析
*前田 真一稲垣 友月小俣 達男
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p. 182

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抄録
ラン藻 Synechococcus sp. PCC7942 は、硝酸イオンに対して非常に親和性の高い(Km=1μM)ATP-Binding Cassette 型の輸送体 (NRT)を介して硝酸イオンを細胞内に取り込んでいる。この NRT を欠失させた変異株は硝酸イオンを取り込めなくなり、硝酸イオン(2mM)を含む培地では生育できない。硝酸イオン(2mM)を含む培地でこの変異株を数カ月培養し続けたところ、2mMの硝酸イオンを取り込めるようになった疑似復帰変異株が得られた。この擬似復帰変異株の硝酸イオン輸送に関わる遺伝子の同定を行ったところ、3つの遺伝子が関与していることが示された。これら3つの遺伝子は、輸送体の本体としてはたらくと推定される硫酸イオン輸送体様タンパク質、DNA 結合ドメインを持たないレスポンスレギュレーター、そしてハイブリッドヒスチジンキナーゼをコードしていた。擬似復帰変異株においては、ハイブリッドヒスチジンキナーゼの788番目の Gln がストップコドンに変異しており、C末端に存在する2つのレシーバードメインをもたないヒスチジンキナーゼが発現していた。この変異が硝酸イオン輸送活性に重要であることは、硫酸イオン輸送体様タンパク質の制御にリン酸リレーが関わっていることを示唆している。
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© 2005 日本植物生理学会
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