抄録
ラン藻の一種Plectonema boryanumは、2種類のグルタミン酸合成酵素(GOGAT)を持ち、電子供与体としてフェレドキシン(Fd)とNADHを用いる。これまでの研究で、Fd-GOGATの発現量を制御することで炭素同化量の増減に見合うよう窒素同化量を調節していることを明らかにした。今回、発光細菌Vibrio harveyiのルシフェラーゼ遺伝子を利用したプロモーターアッセイ系を用いて、Fd-GOGAT遺伝子の発現調節に関わるシグナル及びプロモーター領域の検討を行った。Fd-GOGAT遺伝子のプロモーター(約2kbp、500bp、130bp)制御下にルシフェラーゼ遺伝子をおき、光・外部窒素量・炭素量を変動させることで、この遺伝子の応答の変化を調べた。その結果、窒素源・炭素源や光量によってレポーター活性が変動し、特に窒素・炭素同化のバランスが重要な制御シグナルとなっていることが結論された。また、プロモーター領域の長さによって応答様式が異なることが観察されたので、今後はシス領域の特定を目指して解析を進める予定である。