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シロイヌナズナの芽生えの根は、傾けた適当な硬さの寒天培地表面を這わせると寒天面への接触刺激に応答して波状の成長パターンを示す。wav2とwav3は野生型と比較して、この波状成長パターンが異常となった突然変異体である。wav2は根の波状成長の波長が短くなった突然変異体で、また、このときの寒天面へ接触して起こる根のねじれが促進されていた。さらにwav2 の根は、光・重力刺激による屈曲も促進されていた。これらの結果は、WAV2が根の左右両方向へのねじれの抑制機構に関与しており、この機構を通して様々な環境刺激に応答した根の成長パターン変化の調節をしていることを示唆した。マップベースクローニングの結果、WAV2遺伝子は膜貫通ドメインを持った新規蛋白質をコードしていた。WAV2遺伝子は根、特に根端と伸長領域、基部で強く発現していた。我々の結果はWAV2が環境刺激応答に働くのではなく、環境刺激応答により起こる屈曲を制御していると考えられる。今回の報告ではWAV2のデータに加えてマップベースクローニングの終わったWAV3のデータも併せて報告する。