日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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重力屈性欠損アサガオ(シダレアサガオ)の変異原因遺伝子とその回旋転頭運動における役割
*北澤 大典畑田 泰子鎌田 源司藤井 伸治宮沢 豊星野 敦飯田 滋深城 英弘田坂 昌生菅 洋高橋 秀幸
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p. 214

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抄録
 アサガオ(Pharbitis nil)の1品種であるシダレアサガオ(weeping)は、地上部における負の重力屈性を欠損している。我々はこれまでに、weepingでは地上部において重力感受に必須とされる内皮細胞の分化が異常であり、茎の回旋転頭運動を欠損していること、内皮細胞分化異常の表現型を示すシロイヌナズナscarecrow変異体においても回旋転頭運動が欠損していることを明らかにしている。そこで本研究は、アサガオにおけるSCARECROW相同遺伝子(PnSCR)のweeping形質への寄与を、その同定と解析により検証した。まずPnSCR全長を単離し、野生型アサガオとweepingのアミノ酸配列を比較した。その結果weepingにおいて、重力屈性欠損と連鎖する1アミノ酸の挿入変異を見出した。次に、この変異がPnSCRの機能欠損の原因であるか検証するために、シロイヌナズナscr変異体を用いた相補性試験を行った。野生型PnSCRを導入したシロイヌナズナscr変異体では花茎の負の重力屈性と回旋転頭運動が復帰したのに対し、weepingPnSCRを導入した系統ではその復帰が認められなかった。これらの結果は、weepingにおける重力屈性と回旋転頭運動の欠損が、PnSCRの1アミノ酸挿入による機能欠損に起因し、PnSCRweepingの変異原因遺伝子であることを強く示唆している。
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© 2005 日本植物生理学会
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