日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのBOR1相同遺伝子の機能と役割
*横井(中川) 裕子小林 正治高嶋 和哉周 順利藤原 徹
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p. 237

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抄録
ホウ素は高等植物の必須元素である。イネはホウ素要求量が低いが、ホウ素欠乏培地で水耕栽培すると著しい生育阻害を引き起こす。イネのゲノムには、シロイヌナズナのホウ素トランスポーターBOR1の相同遺伝子が4つ存在しており、OsBOR1-4と命名した。本研究では、イネにおけるホウ素輸送機構を明らかにする目的で、OsBOR1-4の解析を行った。
OsBOR遺伝子を酵母で発現させ、酵母のホウ素濃度に及ぼす影響を検討したところ、OsBOR1-3は酵母菌体内のホウ素濃度を低下させた。このことから、これらがBOR1同様ホウ素の排出型トランスポーターであることが分かった。OsBOR3は野生型イネにおいて主に根で強い発現を示し、イネにおけるホウ素輸送に根から地上部への輸送を担っていると考えられた。一方、OsBOR1及び2は地上部でのみ発現が検出されたことから、地上部の組織間の輸送を担っていると考えられた。
また、OsBOR3についてレトロトランスポゾンTos17の挿入系統2系統の挿入位置を同定し、RT-PCRによって、この遺伝子破壊株ではOsBOR3 RNAの蓄積が検出されないことを確認した。この遺伝子破壊株は、ホウ素欠乏条件下で地上部の生育阻害を示した。生育阻害を示した遺伝子破壊株にホウ素を添加した水耕液を与えると、新しく展開した葉は野生型と同程度にまで回復した。これらの結果はOsBOR3がホウ素欠乏時の地上部へのホウ素輸送に重要であることを示唆している。
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© 2005 日本植物生理学会
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