日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロザ葉柄の光による屈曲について
*藤田 佳子高木 慎吾寺島 一郎
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p. 243

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抄録
葉柄屈曲は、葉の受光量調節に大きな役割を果たすが、その詳細なメカニズムは明らかになっていない。われわれは、2 種類の光強度下 (360、50 μmol m-2 s-1) で栽培したシロザ ( Chenopodium album L.) を使用し、葉柄の屈曲メカニズムについて調べている。
まず、葉の各部位に白色光をスポット照射して屈曲の観察および光受容部位の特定を行った。その結果、葉柄の屈曲は葉柄背軸側への照射時にもっとも顕著に起こること、屈曲は積算光量子数に依存して起こること、生育光環境によって屈曲の積算光量子数依存性が異なることが明らかになった。
しかし、背軸側照射により屈曲反応が連続する点は、自然条件下での葉柄屈曲と大きく異なっていた。そこで葉柄背軸側へのスポット照射を続けながら、様々な部位を同時に照射して屈曲が停止するかどうか調べたところ、葉柄向軸側への同時照射がもっとも有効であった。このことは、葉柄屈曲が葉柄背軸側での受光により誘導され、葉柄向軸側での受光により停止することによって、光の方向に対する葉身の適切な角度が保たれるという可能性を示している。さらに、屈曲の誘導には青色光、停止には青色光と赤色光が有効であった。
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© 2005 日本植物生理学会
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