抄録
フォトトロピンは青色光に依存した光屈性、葉緑体定位運動、気孔開口、葉の伸展における光受容体として機能する。これらの反応は、植物が光を効率的に吸収し、光合成能力を最大限に発揮するために有効であると考えられる。しかしながら、実際にフォトトロピンを介した反応が植物の生長を向上させるかどうかは不明である。そこで本研究では、シロイヌナズナの野生株(WT)、phot1突然変異株(phot1-5)、phot2突然変異株(phot2-1)、および二重突然変異株(phot1-5 phot2-1)を用いて生長実験を行った。それぞれの株を赤色光(25 μmol m-2s-1)のもとで4週間生育させたところ、すべての株の間で生重量の差はみられなかった。しかし、赤色光の1/250の強度の青色光(0.1 μmol m-2s-1)を添加すると、WTとphot2-1では赤色光のみと比べ生重量が約3倍増加した。その時、WTとphot2-1では葉緑体が葉の表面に集合し、気孔が開き、葉が伸展していた。このような青色光を添加した際にみられる生重量の増加は、同時に照射する赤色光の光強度が低いときに顕著にみられた。これらの結果は、フォトトロピンが青色光を受容し青色光に依存した反応を誘導することで、弱い光環境における植物の生長を促進させることを示唆している。