抄録
A/Ci理論に基づくと、低CO2下でのC3植物の光合成はRubiscoカルボキシラーゼ反応に関わる要因(Rubisco量、活性、活性化率、RubiscoへのCO2 の拡散効率)により、さらに高CO2 下ではRuBP再生に関わる要因(電子伝達反応、カルビンサイクル酵素活性、リン酸回収効率)により制御される。本研究では、これら光合成制御要因の調節因子探索を目的に、低あるいは高CO2 下で光合成に異常をもつシロイヌナズナ変異体の単離を試みた。これまでに約25,000個体について、二次元クロロフィル蛍光解析によるPSII量子収率(Φ (PSII))測定からその光合成速度の評価を行った。その結果、得られた変異体は次の4つのパターンに分類された:1、低CO2 下、野性型に比べてΦ (PSII)が大きい;2、両CO2 下、野性型に比べてΦ PSII)が小さく、CO2 依存性を示さない;3、低CO2 下、野生型に比べてΦ (PSII)が小さい;4、光合成の誘導が遅れる。このような変異体が得られたことは、本スクリーニング法が光合成制御因子の獲得に有効であることを示唆している。今後、これらの変異体の生理・生化学的、分子遺伝学的解析は光合成制御機構の解明に貢献する。