日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アフィニティークロマトグラフィーによるOsRac1と相互作用する因子の単離
*中島 綾子桑野 昌喜藤原 正幸川崎 努島本 功
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p. 272

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抄録

 植物は病原体から身を守るために独自の生体防御反応を示す。我々は,イネ形質転換体の解析から耐病性反応において低分子Gタンパク質OsRac1が抵抗性反応を誘導する分子スイッチとして機能していることを明らかにしている。
 本研究では,OsRac1と直接相互作用し,耐病性シグナリングに関与する因子を同定するため,OsRac1アフィニティークロマトグラフィーを行った。カラムはGST融合活性型(GTP型),および不活性型(GDP型)OsRac1,GSTタンパク質をそれぞれグルタチオンビーズに吸着させ作製した。イネ野生型培養細胞からタンパク質を抽出し,アフィニティーカラムに通し,さまざまなNaCl濃度でフラクションを回収した。その後,LC/MS/MS質量分析によりOsRac1と相互作用する因子を同定した。その結果,高分子量のNBSドメインもつ複数の抵抗性遺伝子産物や,新規セリン/スレオニンタンパク質キナーゼなどを同定した。また,7つのWD40リピートをもつReceptor for activated C-kinase 1 (RACK1)と相同性のあるScaffold protein OsRWDを同定した。OsRWDはヘテロ三量体Gタンパク質βサブユニットとも相同性が高い。
 また,同定した候補遺伝子との酵母two-hybridを行った結果,全てOsRac1と直接相互作用することが確認された。特にOsRWDは活性型OsRac1と特異的に相互作用することがわかり,植物の低分子Gタンパク質シグナリングにおいても新規な知見が得られた。

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© 2005 日本植物生理学会
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