日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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根粒菌接種に対するミヤコグサのヘモグロビン遺伝子(Hb)の発現応答
*永田 真紀下田 宜司鈴木 章弘阿部 美紀子東 四郎内海 俊樹
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p. 273

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抄録
マメ科植物には,共生型ヘモグロビン(symbiotic hemoglobin, sym-Hb)と非共生型ヘモグロビン(nonsymbiotic hemoglobin, nonsym-Hb)が存在する。sym-Hbは,酸素分圧を調節し,根粒菌が窒素固定能を発現するための環境を作り出している。一方,nonsym-Hbは全ての植物に存在すると予想されているが,その確かな機能については明らかになっていない。
ミヤコグサ(Lotus japonicus MG-20)とミヤコグサ根粒菌(Mesorhizobium loti)のモデル共生系を材料とし, sym-Hbとnonsym-Hbの遺伝子発現を指標とし,宿主植物の根粒菌に対する応答解析を試みた。播種後14日目のミヤコグサに,共生根粒菌(M. loti),非共生根粒菌(アルファルファ菌,ダイズ菌,クローバ菌)を接種し,植物を地上部と根に分けRNAを抽出し,定量PCRにてsym-Hbnonsym-Hbの発現量を経時的に比較した。
その結果,共生根粒菌を接種した場合,地上部ではnonsym-Hbに大きな変化がなかったが,根では菌接種2~4時間後にnonsym-Hbの発現レベルが約2.5倍上昇した。一方,非共生根粒菌を接種した場合,地上部と根両方でnonsym-Hbに大きな変化がなかった。また,sym-Hbの発現は共生根粒菌,非共生根粒菌どちらを接種した場合でも大きな変化はなかった。以上の結果は,共生根粒菌の接種に対して,植物の根でnonsym-Hbが特異的に応答発現することを示しており,宿主植物の共生菌認識機構にはnonsym-Hbが関与していることが示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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