日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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傷害応答性MAPキナーゼ、NtMPK4抑制タバコにおけるジャスモン酸シグナルの抑制とオゾン感受性の促進
*五味 剣二瀬尾 茂美小川 大輔鎌田 博中嶋 信美佐治 光大橋 祐子
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p. 418

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抄録
植物のmitogen-activated protein kinases (MAPKs)は、様々なストレスによって活性化され、そのシグナルを下流に伝える重要な因子として広く知られている。今回、恒常的な全身獲得抵抗性を示し、ジャスモン酸シグナル非感受性になるArabidopsis mpk4 mutantの原因遺伝子AtMPK4のタバコオルソログ、NtMPK4を単離し、タバコにおける機能を解析した。
 NtMPK4はWIPKやSIPKと同様に、傷害により速やかに活性化された。NtMPK4の発現を抑制した形質転換タバコはmpk4と同様に矮性の表現型を示し、傷害応答性の塩基性PR-1遺伝子の傷害誘導性が減少していた。次にNtMPK4のエチレンやジャスモン酸シグナルへの関与を明らかにするために、両シグナルが拮抗的に働くといわれるオゾンを形質転換タバコに暴露した。一般的にエチレンシグナルはオゾン暴露による細胞死を誘導し、ジャスモン酸シグナルは逆にこの細胞死を抑制することが知られている。オゾン暴露の結果、NtMPK4発現を抑制した形質転換タバコはオゾンに対してより感受性になり、対照葉が変化を示さない条件下で葉に激しい壊死が誘導されたことから、NtMPK4がエチレンシグナルではなく、ジャスモン酸シグナルにおいて機能していることが示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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