日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オオムギの花粉形成における高温不稔と発現プロテオミクス解析
*秋林 健一押野 健安彦 真文東谷 なほ子東谷 篤志
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p. 433

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抄録
植物の生殖成長過程での様々なストレスによって引き起こされる障害は、一般に種子稔性の低下(不稔)という形で現れることが知られている。しかしながら、その発生機構の分子メカニズムについては、多くの場合組織や時期に特異性があり、これまでに十分な解明はなされてない。そこで、私たちは生殖成長過程が栄養成長過程と比較的同調良く進行するオオムギを用いて、その高温障害の発生とタンパク質の発現変動について網羅的な解析を行っている。具体的には、はるな2条を用いて、その幼穂長が約2mmの生殖成長初期に高温(昼30℃/夜25℃)・16時間日長下に5日間さらすことで、その後適温に戻しても出穂はみられるが、花粉形成が阻害され、完全に雄性不稔となる実験系を用いて、解析を行った。そして、高温処理5日目とその後適温に戻して8日目の幼穂からタンパク質を抽出し、それぞれの対照区と1次元および2次元電気泳動ならびにMALDI-TOF MSを用いたペプチドマスフィンガープリンティング法により、高温処理によって発現量が変化したタンパク質を網羅的に解析した。その結果、高温処理区で発現量の変動があったスポットやピークを複数検出することができ、glycine-rich RNA-binding proteinをはじめとした幾つかのタンパク質も同定することができた。本発表では、これらの研究結果の詳細について報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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