抄録
小胞体からゴルジ装置への輸送を担うCOPII小胞は、Sar1p, Sec23/24p, Sec13/31pが小胞体上でアセンブリ-することにより形成され、この形成に関わるSar1, Sec23, Sec24, Sec13, Sec31遺伝子は総て出芽酵母では必須であることが知られている。植物においては、複数のSar1, Sec23, Sec24, Sec13, Sec31遺伝子がゲノム中に存在していることから、各々の相同遺伝子間での役割分担に興味がもたれる。そこでこの機能分担を明らかにする第一歩として、シロイヌナズナゲノム中に二個の相同遺伝子が存在する Sec31に注目し、これら二個の遺伝子の破壊株をもちいてそれらの関係を遺伝学的に解析した。At3g63460と At1g18830 (それぞれA, B遺伝子と標記)のT-DNA挿入による破壊株を掛け合わせて得られたヘテロ二重破壊株AaBbを自家受粉させ、次世代の分離を検討した。aabb,aaBbの遺伝子型の個体は得られず、aaBB,Aabbの個体は期待されるより低い割合でしか得られなかった。しかし、発芽率は野生型と遜色無く、発芽した個体は通常の生育を示した。また、ヘテロ二重破壊株の自家受粉後の莢を観察したところ、胚致死を起こしたものは見られなかった。従って、シロイヌナズナSec31遺伝子は花粉か卵細胞の形成から必須であると推定された。