日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ培養細胞における2つの非共生型ヘモグロビン遺伝子の発現様式の解析
*大脇 良成川岸 万紀子若狭 暁米山 忠克藤原 伸介
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p. 662

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抄録
植物において非共生型ヘモグロビン遺伝子の発現は、硝酸により誘導されることが知られている。しかし、その誘導機構については明らかになっていない。イネ培養細胞において、NADH依存性硝酸還元酵素をコードするnia1、非共生型ヘモグロビンをコードするORYsaGLB1aおよびORYsaGLB1bの発現は、培地への硝酸、亜硝酸および一酸化窒素発生試薬の添加により誘導された。これらの遺伝子発現は類似のタイムコースを示し、添加後2時間から4時間をピークにして、その後減少した。硝酸、亜硝酸および一酸化窒素発生試薬の添加によるORYsaGLB1bの誘導は、細胞質のタンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミドの添加により抑制された。このことから、硝酸、亜硝酸および一酸化窒素によるORYsaGLB1bの誘導には、細胞質における新規のたんぱく質合成が必須であるものと考えられた。一方、nia1およびORYsaGLB1aの硝酸、亜硝酸および一酸化窒素による発現誘導は、シクロヘキシミドの添加では抑制されなかったことから、これら遺伝子の発現誘導は細胞質における新規のたんぱく質の合成を必要としないものと考えられた。これらのことから、イネの非共生型ヘモグロビンをコードする2つの遺伝子は、硝酸、亜硝酸および一酸化窒素により類似のタイムコースで誘導されるものの、その誘導経路は異なるものと推察された。
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© 2005 日本植物生理学会
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