抄録
IAAは植物の発生や環境応答に欠かせないホルモンであるが、合成経路や合成部位についての詳細はいまだ明らかにされていない。単子葉植物の幼葉鞘先端は光、重力、温度といった多くの環境変化を受容し、また、先端で生産されるIAAの下方に向けた極性移動がこうした作用に重要な役割を果たすと考えられる。当研究室では、トウモロコシの幼葉鞘を材料とした先端部位(およそ2 mm以内)でIAAがde novoに合成されていることを明らかにした。本報告では、幼葉鞘先端0~2 mm、2~4 mm、4~6 mmの3つの部位でのタンパク質およびmRNAの発現パターンを網羅的に解析、比較し、先端部特異的に発現するタンパク質及び遺伝子の検索を試みた。タンパク質の発現パターンの比較では2D-PAGEを用いた従来法であるアミノ酸シーケンサーによる配列決定に加え、新規プロテインチップ(BlotChipTM)を用いたMALDI-TOF-MSによるプロファイリングの比較(ディファレンシャル解析)と同じく同チップを用いたPeptide Mass Fingerprinting法による同定を実施した。mRNAについては、Random Amplified Polymorphic DNA-PCR法により発現パターンを比較した。その結果、現時点で先端特異的に発現すると考えられる数個のタンパク質と数十の遺伝子を確認し、その同定を進めている。