日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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糖感受性とセルロース合成に同時に変化が起きた変異体の分析
*中川 直樹桜井 直樹
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p. 780

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抄録
 シロイヌナズナの芽生えは、生育や貯蔵脂質の代謝を、培地の炭素源、窒素源の量や比率に応じて制御している。セルロースなどの細胞壁構成成分は、細胞の生存と伸長成長に必須であるだけでなく、栄養源の分配先としても主要な割合を占め、栄養源シグナルと関連がある可能性が考えられる。しかし、デンプンや貯蔵脂質と比較して、細胞壁成分の合成、代謝と栄養源シグナルの関連は不明な点が多い。
 我々は細胞表層を不安定化する処理(セルロース合成阻害剤処理、高温処理)に対する感受性が変化した変異体を取得し、分析してきた。興味深いことに、この変異体の芽生えでは、培地の糖が多いときに細胞壁のセルロースの割合が大きく減少し、デンプンは逆に増えていた。また、培地の糖を減らしても多くしても、芽生えの生育が野生型よりも著しく悪くなり、糖感受性が高くなっていた。この変異体の示す性質は、野生型の芽生えを低窒素培地で育成した際に見られるものと似ていたので、変異体の基礎的な炭素、窒素代謝を調べたところ、アミノ酸の代謝に顕著な異常がおきていた。変異によって細胞内の基礎的な代謝が異常をきたし、それが何らかのシグナルを介して糖感受性とセルロースの合成に同時に影響を与えているらしい。変異遺伝子の単離を試みつつ、基礎代謝異常と糖シグナル、セルロース合成を結びつける機構を調べている。
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© 2005 日本植物生理学会
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