日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコミトコンドリアゲノムにある遺伝子の転写とプロセシングの解析
*杉山 康雄矢倉 聡一牧田 尚之杉浦 昌弘
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p. 799

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抄録
タバコミトコンドリアには36種類のタンパク質、3種類のrRNA、そして、21種類のtRNAをコードする遺伝子がある。転写単位とプロモーター領域の探索、そして、RNAエディティング部位の決定によって、それらの機能発現を推測した。
タバコミトコンドリアDNA(mtDNA)の遺伝子間スペースは73個でそのサイズはrpl5-rps14の1 bpからnad7a-trnfMの36 kbpまで分布し、平均約5 kbpである。比較的短い遺伝子間スペースを基準に18個の遺伝子クラスターを推定し、それらの内の4つは共転写されることをRT-PCRで確認した。残りの23遺伝子はモノシストロニックな転写であり、従って、少なくとも41個のプロモーターがタバコmtDNAには存在することになる。
双子葉植物ミトコンドリア遺伝子について提案されているCNMプロモーター配列がタバコatp6, trnfM, nad3, rrn18, nad4L, nad5de, atp1, rps4, nad7遺伝子の5’上流領域に見出された。従って、大多数(30個以上)はCNM型とは異なるプロモーターと推定され、今後、転写開始点の決定とプロモーターの解析が必要である。
RT-PCR法で転写後に起きたRNAエディティング部位を決定した。現在までに、すべてのタンパク質遺伝子(36種類)でRNAエディティングが起こっていること、エディティング部位は全部で510箇所であることを見出している。このうちrps14は偽遺伝子であるので、少なくとも35種類のタンパク質遺伝子は機能発現していることが分かった。
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© 2005 日本植物生理学会
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