抄録
高等植物のペルオキシソームは細胞の機能状態に応じてその機能を変換する。種子発芽過程では、光照射により脂肪代謝を担うグリオキシソームから光呼吸を担う子葉ペルオキシソームへの機能変換が、同一細胞内で直接的におこることが知られている。この機能変換過程では、遺伝子発現変化と、ペルオキシソームに局在するタンパク質の大規模な入れ替えが必要となる。しかしその機能変換機構の詳細は明らかにされていない。私達はトランスクリプトームとプロテオームを用いた網羅的な解析から、光照射によるアラビドプシスの子葉緑化過程のペルオキシソームについて、詳細に特徴付けを行ったので報告する。
まずシロイヌナズナの各器官におけるペルオキシソーム関連遺伝子の発現を網羅的に調べた。その結果、発芽初期の種子ではグリオキシソーム酵素遺伝子の強い発現が見られた。一方、緑化子葉では本葉と共通した緑葉ペルオキシソームの遺伝子の発現に加え、緑化子葉のみで強く発現している一群のペルオキシソームの遺伝子が存在することが明らかになった。またプロテオーム解析からは、暗所で育てた芽生えと緑化子葉にそれぞれ19個、29個のペルオキシソームタンパク質が存在することが明らかになった。2つの器官で共通してみられたタンパク質は2つのみで、他の遺伝子はそれぞれの器官に特徴的に存在していた。以上の結果をもとに、ペルオキシソーム機能変換機構を考察する。