抄録
我々はこれまでに、大腸菌ATP依存性Lonプロテアーゼと高い相同性を示すプロテアーゼ様タンパク質AtLon1がシロイヌナズナペルオキソームに局在することを明らかにした(第43回日本植物生理学会年会)。今回は、AtLon1のプロテアーゼとしての性質や遺伝子発現について詳しく解析を行った結果について報告する。
まず、昆虫細胞発現系により合成したAtLon1組換えタンパク質と合成ペプチド基質を用いてプロテアーゼ活性を測定した。その結果、プロテアーゼ活性の至適pHは7.2で、ATPの添加により活性が増大すること、ロイペプチン、ペプスタチン、PMSFに感受性を示すことが明らかになった。また、アミノ酸置換を導入した変異組換えタンパク質の解析から、783番目のセリン残基が活性中心である可能性が示された。以上の結果から、AtLon1はATP依存的なセリンプロテアーゼとして機能することが明らかになった。
一方、RT-PCR解析の結果、乾燥および塩ストレスによってAtLon1のmRNAの転写が促進されることが確認された。これは、AtLon1がペルオキシソームにおける乾燥および塩ストレス応答に関与する可能性を強く示唆している。