抄録
葉緑体遺伝子発現は主に翻訳の段階で制御されているが、そのメカニズムには不明な点が多い。我々は葉緑体 in vitro 翻訳系を用いてその解析を行ってきたが、これまで利用されてきた翻訳系は活性が低く、また、大腸菌 tRNAs を含むなど不完全なものであった。そこで我々は葉緑体 in vitro 翻訳系の大幅な改良を行った。
新しい系では EGFP レポーター遺伝子を利用した。まず、翻訳系の調製法および反応条件を再検討することにより、翻訳活性を約40倍高めることに成功した。さらに、EGFP の蛍光を利用した RI を用いない検出法を確立し、その結果、翻訳産物を電気泳動で分離した後、数分で翻訳産物の検出が出来るようになった。現在この系を用いて、葉緑体遺伝子の翻訳制御の機構を解析中であり、その結果を報告する。