日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのABCタンパク質AtABCA1の発現解析
*浜本 正文大石 明美佐藤 文彦Cyrille Forestier矢崎 一史
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p. 855

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抄録
ABCタンパク質は微生物からヒトに至るまで広く生物界に存在し、スーパーファミリーを形成している。シロイヌナズナのゲノムには131種のABCタンパク質遺伝子が存在するとされている。これらは重要性の高いサブクラスターを形成するが、その中で最大の分子量をもち、ヒトなど動物でコレステロール及びリン脂質の輸送体として広く研究が展開されているABCA1のオルソログAtABCA1はシロイヌナズナに1コピーのみ存在する。このAtABCA1オルソログは単細胞生物の酵母や単子葉植物のイネには見いだされてないことから、双子葉植物の多細胞生物としての機能に重要な生理的役割を果たしていると推定されている。本研究ではまず、AtABCA1の全長cDNAを単離し、その正しいN末端のアミノ酸配列を確認するとともに発現様式の解析を行った。組織別のノーザン解析の結果、シロイヌナズナの各組織においてAtABCA1の発現が認められ、特に根と茎において強い発現を認めた。次いでAtABCA1のプロモーター2kbを用いてGUS形質転換体を作成し、発現の部位特異性及び生長過程における発現変動を詳細に解析したところ、芽生え、成熟植物体いずれにおいても、根、茎、葉の維管束のみにおいて強い発現を認めた。これらの結果よりAtABCA1は維管束における物質の長距離輸送に関与していることが示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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