抄録
Mitogen-activated protein kinase(MAPK)は植物から酵母、動物に至るまで真核生物に普遍的に存在しているセリン/スレオニン型タンパク質リン酸化酵素であり、細胞内外の様々な刺激に応じて特定のアミノ酸残基のリン酸化をうけて活性化される。活性化されたMAPKはその主要な機能発現の場である核内に移行し、様々な転写因子をリン酸化することで遺伝子の発現を制御していると考えられている。最近、植物の病傷害抵抗性反応にMAPKが重要な役割を演じていることがシロイヌナズナやタバコ、ジャガイモ、イネ、トマトなどを用いた解析から明らかとなってきた。タバコでは病傷害応答性MAPKとしてWIPKとSIPKが同定されており、これらMAPKが活性化されることによって最終的に防御遺伝子群の発現や病害抵抗性を誘導すると考えられている。我々はWIPKの活性化を引き起こすシグナル物質として新規なジテルペンを同定した。また、最近我々は、シロイヌナズナの全身獲得抵抗性に関わるAtMPK4のタバコortholog(NtMAPK)を単離し、その機能解析を行っている。その結果、NtMPK4は傷害応答やオゾン耐性に関与することがわかった。