日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光反応中心における三重項カロテノイドの寿命の酸化還元電位依存性
*石井 秀和柿谷 吉則曽我部 博赤羽 準治小山 泰
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p. 027

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抄録
光合成系にあるカロテノイドは、光反応中心(RC)において光保護作用(三重項エネルギーの散逸)を担っている。RCでは電荷分離反応に始まる一連の電子伝達が起こっており、これは電子の蓄積状態を反映する酸化還元電位によって支配されているものと期待される。そこで、RCにおけるカロテノイドの三重項エネルギーの寿命を決定し、その寿命が還元剤の添加によってどのように変化するかを調べた。今回、Rhodobactor sphaeroides 2.4.1からRCを単離し、スペシャルペアバクテリオクロロフィルを励起して、可視領域のサブマイクロ秒時間分解吸収スペクトルを測定した。還元剤アスコルビン酸ナトリウムを50, 100, 200, 400 mM添加すると、三重項状態のカロテノイドのシグナルが大きくなり、ラジカルカチオンのシグナルは小さくなった。また、カロテノイドの三重項状態の寿命は順次短くなった。これらは、三重項状態の減衰速度が、生成した三重項状態の量に依存して増大していることを示している。このような三重項寿命の酸化還元電位依存性の報告例はない。現在、Rhodospirillum rubrum S1のRCについて調査しているところである。
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© 2006 日本植物生理学会
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