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現在知られているラン藻の多くのグリセロ脂質のsn-2位はほとんど炭素数16の脂肪酸で占められており、それを決定しているのはリゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ(LPAAT, EC 2.3.1.51)である。ラン藻Synechocystis sp. PCC6803 は3つのアシルトランスフェラーゼ様遺伝子sll1848、sll1752 、slr2060をもっている。これらはいすれも生存に必須ではないが、sll1848破壊株(Δ1848、 Δ1848 Δ2060)ではsn-2位の炭素数18脂肪酸の割合が増加し、sn-1位の脂肪酸の不飽和度の減少もみられた。Δ1848 、Δ1848 Δ2060ではクロロフィル量、光合成活性が減少し、生育速度の低下が起きた。また、低温感受性の増加もみられた。Δ1848 Δ2060ではsll1752遺伝子の発現が増加しており、炭素数18脂肪酸を基質にしたときのLPAAT活性が上昇していた。sll1752タンパク質は炭素数18脂肪酸特異的LPAAT活性を示し、大腸菌LPAAT変異株の温度感受性を相補した。以上の結果からsll1752は炭素数18脂肪酸特異的LPAATであり、ラン藻の生育に十分であるが、光依存的生育には最適ではないことが分かった。