日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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円石藻Emiliania huxleyiのGDP-Mannose pyrophosphorylase cDNAのクローニング
*茅野 啓介鈴木 石根白岩 善博
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p. 030

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抄録

円石藻のココリスは非常に微細かつ精巧な立体構造を有し、その形成機構は有機-無機複合ナノ結晶形成のモデルとして注目されている。これまで細胞内における結晶成長制御の詳細な分子機構は不明であるが、ココリス表面や細胞内のココリス形成部位に局在するα-1,3-マンナンを主鎖とする酸性多糖が結晶成長の制御に関与すると考えられている。我々はin vivoでの酸性多糖の機能を明らかにすることを目的とし、Emliania huxleyiのEST配列から酸性多糖合成に関わる遺伝子の同定を試みた。その結果、マンナン合成の基質となるGDP-Manを供給するGDP-Mannose pyrophosphorylase cDNAのホモログを特定し、クローニングすることに成功した。配列解析の結果、このcDNAは40.9 kDaのタンパク質をコードし、既知のGDP-Mannose pyrophosphorylaseと高い相同性を示すことが分かった。E. huxleyiのESTにはGDP-Mannose pyrophosphorylase cDNAが1種類しか見つからず、この酵素がココリス中の酸性多糖合成系に関わることが示唆された。本遺伝子の発現とココリス形成の関係について解析し、ココリス結晶形成における酸性多糖の機能について考察する。

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© 2006 日本植物生理学会
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