日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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環境ストレスで誘導されるシロイヌナズナのシス型プレニルトランスフェラーゼの機能解析
*高橋 征司須藤 剛寺内 大樹中山 亨古山 種俊
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p. 036

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抄録

高等植物において、ポリプレノールやドリコール等のZ,E混合型ポリイソプレノイドは、炭素数50-60、70-120という多様な鎖長分布で存在しているが、その生理的意義については不明な点が多い。我々はZ,E混合型ポリイソプレノイドの生理機能解明を目的として、基本骨格生合成を触媒するシス型プレニルトランスフェラーゼ(CPT)をコードするcDNA群をシロイヌナズナより単離し、環境ストレス下における発現応答を解析した。また、遺伝子ファミリーのなかでも、特にAtCPT5の機能解析を行った結果について報告する。
シロイヌナズナゲノム上に存在する9種のシロイヌナズナCPT相同遺伝子(AtCPT)について、乾燥、塩、低温、傷害などの環境ストレスを与えた実生における発現応答をRT-PCRによって解析した。その結果、AtCPT5は低温処理で、AtCPT8およびAtCPT9は塩処理で顕著に遺伝子発現が誘導されることが明らかとなった。酵母で発現させたAtCPT8およびAtCPT9は、C75-110の長鎖ポリイソプレノイドを合成する活性を示すが、AtCPT5の酵素機能を解析したところ、C30-35のポリイソプレノイドを合成する新奇な生成物鎖長特性を示す酵素であることが明らかとなった。これらの結果から、AtCPT5とその反応生成物が低温ストレス応答に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。

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© 2006 日本植物生理学会
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