日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイナズナの葉におけるビタミン E の役割
*前田 宏Song WanDellaPenna Dean
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p. 082

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抄録
ビタミンE(tocopherol)は,植物など光合成生物だけが合成することのできる脂溶性の抗酸化物質である.動物の必須栄養素であるため,有用な機能分子としてよく知られているが,植物における割は未だ解明されていない.そこで本研究は,植物におけるビタミンEの機能を明らかにするために,シロイナズナのビタミンE欠損株(vitamin E mutants, vte 変異体)を用いて,生理学ならびに生化学的な解析を行った.
ビタミンEは,光酸化ストレスから光化学系を守っていると長い間信じられてきた.しかし驚くことに,1800μEの強光ストレスに対する感受性,ならびに光合成能の変化において,vte 変異体と野生株で顕著な違いは見られなかった.このことから,ビタミンEは強光ストレス耐性に必須ではないと結論付けられた.また,別の脂溶性抗酸化物質であるカロテノイドのうちzeaxanthin がvte 変異体で多く蓄積されていることから,zeaxanthinがビタミンEの欠損を補償している可能性が示唆された.
一方,我々はvte 変異体が低温感受性であることを見出した.野生株に比べvte 変異体は,低温条件下で,葉にアントシアニンが蓄積し,成長が抑制され,種子の収量が減少した.この低温での表現型を生化学的に詳細に解析する中,従来の予想とは異なる,ビタミンEの新たな機能が明らかになってきた.本大会では,ビタミンEが低温下において,糖代謝制御に関わるメカニズムについて議論したい.
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© 2006 日本植物生理学会
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