日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)におけるフルクタン合成酵素遺伝子群の機能同定と低温条件下での発現変動の解析
*久野 裕金澤 章吉田 みどり喜多村 啓介山田 敏彦
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p. 084

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抄録
温帯起源の多くのC3植物はフルクタンを蓄積する。フルクタンはフルクトースのポリマーで、これらの植物における主な貯蔵炭水化物の1つである。フルクタンは細胞内の浸透圧調整に関与することが知られており、低温や乾燥などの環境ストレスに植物が適応する上で重要な物質である。そのため、フルクタン代謝を理解することは、植物の環境ストレス耐性の全容を解明する上で重要である。
演者らは、ペレニアルライグラス低温馴化冠部由来のcDNAライブラリーから、既知のフルクタン合成酵素遺伝子と相同性が高い6種類のクローンを単離し、prft1-prft6と名付けた。これらの遺伝子の機能解析を行った結果、prft3およびprft5はfructan-fructan 6G-fructosyltransferase(6G-FFT)を、prft4はsucrose-sucrose 1-fructosyltransferase(1-SST)をそれぞれコードしていることが明らかとなった。また、Realtime RT-PCR法を用いて、低温条件下でのこれらの遺伝子の発現解析を行った結果、prft1およびprft2は、低温処理日数が長くなるにつれて葉部および冠部組織において著しく発現が増加していた。一方で、prft3prft4およびprft5は、低温処理1日目で顕著な発現増加が見られた。低温処理日数が長くなるに伴い、葉部および冠部組織でのフルクタンの含有量が増加していることから、これらの遺伝子発現の増加とフルクタン含有量の増加は密接に関連していることが示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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