日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トリコデスミウム属(藍色植物)における細胞間窒素固定酵素局在性の再検討
*大城 香谷内 由貴子
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p. 129

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抄録
窒素ガスをアンモニアに還元する窒素固定酵素は酸素感受性が非常に高いため、好気生物で酸素発生型光合成を行う藍色植物の窒素固定は微嫌気条件や夜間、または窒素固定に特化した細胞(異質細胞)中で行う。しかしトリコデスミウム属は異質細胞を分化しないにもかかわらず好気的窒素固定は光依存性で昼間にのみ起こる。これまでに報告された本属の窒素固定系の細胞間局在性の結果は必ずしも一致せず、窒素固定専用細胞(Diazocytes)の分化も示唆されている。本研究では培養株Trichodesmium sp.NIBB1067を用い、本株の窒素固定酵素複合体の3つのサブユニットに対してそれぞれ作成した抗体をプローブとし、光合成色素の自家蛍光に影響されない発色法を利用した全細胞免疫化学的検出法により窒素固定酵素の細胞間局在性を再検討し(1)窒素固定条件ではほぼすべての細胞で窒素固定酵素が発現している、(2)Diazocytes様細胞の出現頻度と窒素固定酵素活性には相関が無い、(3)Diazocyte様細胞は非窒素固定条件で生育した細胞でも見いだされることを明らかにし、本属はすべての細胞が窒素固定酵素を好気・光合成条件で合成する能力を持つことを示した。これまでの報告と異なった結果を得た原因と、本属窒素固定系の耐酸素性発現の機構について考察を行う。
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© 2006 日本植物生理学会
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