日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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メリステムの維持制御に関与する遺伝的機構と分子機能の保存性と多様性
*寿崎 拓哉藤本 優堤 伸浩平野 博之
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p. 199

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抄録
植物のメリステムは,葉や花などの側生器官形成をはじめとして,その形態形成に重要な役割を果たしている.シロイヌナズナでは CLAVATA (CLV) シグナル伝達経路により,メリステムの維持制御が行われていることが知られている.一方,他の植物に関しては,どのような遺伝的機構により,メリステムの維持が行われているのかはほとんど未解明のままである.私たちは,単子葉類のモデル植物であるイネを用いて,花分裂組織のサイズの増大により花器官数の増加を引き起こす floral organ number1 (fon1) および fon2 変異体を用いた解析を行ってきた.これまで,FON1 は CLV1 様のレセプターカイネースをコードしていること,FON2 は CLV3 様のシグナル性ペプチドをコードしていることを明らかにしてきた ( Suzaki et al. Development 131:5649-5657; 寿崎ら 第46回 日本植物生理学会年会 ).
今回は,イネとシロイヌナズナにおいて,FON2 を構成的に発現させた形質転換体を作出し,その表現型解析を行った.その結果,イネにおいては,シロイヌナズナと基本的には同じ遺伝的制御により,メリステムの維持制御が行われていることが明らかになった.一方,シロイヌナズナにおける FON2 構成的発現の結果は,FON2 が CLV3 と同じタンパク質機能を担っていることを示唆した.しかし,その一方で,イネにはシロイヌナズナとは異なるメリステム維持経路も存在することが示唆された.
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© 2006 日本植物生理学会
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