日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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チラコイド内腔に局在するチオレドキシン様タンパク質HCF164の標的タンパク質の同定とその酸化還元機構
*本橋 健吉田 賢右久堀 徹
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p. 217

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抄録
高等植物の葉緑体ストロマでは、葉緑体内の還元状態に応じて活性調節される一群のタンパク質が存在し、チオール酵素として知られている。葉緑体ストロマに存在する2種類のチオレドキシン(f型とm型)は、光化学系から供給される還元力を利用して標的タンパク質であるこれらチオール酵素分子のジスルフィド結合の還元を行い、その活性を調節する役割を担っている。私たちは、標的タンパク質を網羅的に研究することで、葉緑体ストロマのチオレドキシンにはこれまで考えられていたよりも多くの標的タンパク質が存在し、チオレドキシンがそれらの酸化還元調節を行っていることを明らかにしてきた。
本研究では、葉緑体内でチラコイド膜によってストロマとは隔てられているチラコイド内腔側の酸化還元システムを明らかにするため、チラコイド膜に結合し活性部位を内腔側に持っているチオレドキシン様タンパク質HCF164に注目した。まず、私たちが開発したチオレドキシン変異体を用いた標的タンパク質の網羅的捕捉法を用いて、HCF164の標的タンパク質同定を行い、標的タンパク質の酸化還元機構の生化学的な解析を行った。さらに、HCF164への還元力供給源についても検討したので、それらの結果について報告し、HCF164の内腔における役割について考察する。
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© 2006 日本植物生理学会
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