日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

細胞質型チオレドキシンにより還元調節される膜タンパク質の探索
*中西 華代前島 正義佐塚 隆志久堀 徹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 216

詳細
抄録
生体内で還元調節を仲介する分子の一つであるチオレドキシンは、分子量1万2千の小さなタンパク質で、他の酵素のジスルフィド結合を還元することで活性を制御する。これまでに、チオレドキシン変異体の固定化担体を用いたスクリーニング法を、高等植物の葉緑体や細胞質タンパク質に適用することで、チオレドキシンにより調節される分子が次々と明らかにされている。
そこで、本研究では膜輸送体やレセプターといった細胞機能に重要な分子を含む膜画分に着目し、チオレドキシンにより調節を受ける膜タンパク質分子を探索した。さらに、得られた分子の還元調節機構を生化学的に解析することで、チオレドキシンによる活性制御に共通の仕組みを見出すとともに、その生理的役割を明らかにすることを目指す。
具体的には、シロイヌナズナ培養細胞から調製したポストミトコンドリア画分を界面活性剤で可溶化し、チオレドキシン変異体固定化担体カラムに供与してスクリーニングを行った。捕捉された標的膜タンパク質の候補は、MALDI-TOF/TOF MSを用いた質量分析、N末端アミノ酸シーケンシング、種々の膜タンパク質に対する抗体を用いた免疫ブロッティングにより分子種を同定した。今回は、スクリーニングにより、どのような膜タンパク質分子が捕捉されたかを報告し、これらの分子が還元調節を受ける生理的意義を考察する。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top