日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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遺伝子の注釈の有無とシアノバクテリア遺伝子破壊株のクロロフィル蛍光の関係
*尾崎 洋史園池 公毅
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p. 276

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抄録
遺伝子機能を解明する上で遺伝子につけられた注釈は手掛かりとなるが、何らかの注釈がついている遺伝子はデータベース上の半数にも満たない。そこで本研究では、遺伝子を破壊したシアノバクテリアのクロロフィル蛍光から注釈の有無に関わる要因を探ろうと試みた。シアノバクテリアは反応が細胞内小器官に隔離されていないため、遺伝子破壊によってもたらされた影響が様々な代謝系に影響を与える。その影響は場合によっては光合成の指標であるクロロフィル蛍光の変化となって現れる。強光および弱光下で生育させた303の変異株についてクロロフィル蛍光の経時変化を観察した。それらのクロロフィル蛍光の中で野生株と違いが見られたものは203株であった。クロロフィル蛍光を観察した変異株を注釈のある遺伝子の破壊株と無い遺伝子の破壊株のグループに分けた場合、注釈のあるグループでは弱光と強光の両方で野生型と異なるものの割合が高く、注釈の無いグループの方が強光のみで野生型と異なる表現型を示すものの割合が高かった。これらのことから、注釈のある遺伝子は常に働いているものの割合が多いためにいずれの生育条件でも野生型と異なる割合が高くなり、逆に、注釈の無い遺伝子は特定の条件で働くものが多いために弱光下でその変異株が野生株と差異が検出されない割合を高めていると予想され、特定の条件のみで機能を発揮することと注釈の有無の間に関連があると考えている。
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© 2006 日本植物生理学会
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