日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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チョウマメにおいてテルナチン類の生合成に関与する1-O-アシルグルコース依存性アントシアニン芳香族アシル基転移酵素遺伝子
*野田 尚信数馬 恒平佐々木 健古川 耕一郎鈴木 正彦
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p. 341

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抄録

チョウマメにおけるテルナチン類の生合成では,デルフィニジンB環のO-グルコシル基がアシル基転移酵素(3'AT及び5'AT)によりp-クマロイル化されると推定される.我々はアシル基供与体に1-O-アシルグルコースを用いて3'AT酵素活性を初めて検出した.精製した3'ATタンパク質はSDS-PAGEで31及び24kDaのバンドに分離し,二つのサブユニットからなるヘテロマーと考えられた.生化学的及び酵素化学的特性から,3'ATはセリンカルボキシペプチダーゼ様アシル基転移酵素(SCPL-AT)と考えられたので,花弁より同酵素遺伝子の候補となるcDNAを幾つかクローン化した.そのうちのCtAT1 cDNAが,トリプシン消化によって得られた31kDaサブユニットの2ペプチド,24kDaサブユニットの1ペプチドのアミノ酸配列と一致する推定アミノ酸配列を有し,二つのサブユニットをコードすると考えられた.また,CtAT1にはSCPLタンパク質の推定活性中心であるSer-His-Aspが保存されていた.さらにN末端にシグナル配列,そして24kDaサブユニットに糖鎖修飾されると推定されるAsnがあり,分泌タンパク質と考えられた.そこで,バキュロウイルス-昆虫細胞の系で組換えタンパク質を発現させて酵素活性を測定した.その結果,1-O-アシルグルコース:アントシアニン3'-O-グルコシド-O-アシル基転移酵素活性を有することが確認された.

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© 2006 日本植物生理学会
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