日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ミヤコグサにおけるイソフラバンファイトアレキン生合成の最終段階を触媒する酵素の同定
*明石 智義嶋田 典基青木 俊夫綾部 真一
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p. 345

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抄録
イソフラバンvestitolはミヤコグサなどマメ科Lotus属植物のファイトアレキシンである.これまでにvestitol生合成系の酵素・遺伝子の殆ど全てが同定されたが,イソフラバン骨格の生合成機構は未知であった.リグナン合成系に見出される,プテロカルパンからイソフラバンへの変換と形式的に同等の反応を触媒する還元酵素のホモログをミヤコグサから得て,基質特異性を検討した.ミヤコグサESTデータベースからフェニルクマランベンジルエーテル還元酵素 (PCBER)様の2配列(PTR1, PTR2)を選抜した.PTR1とPTR2は,PCBERやイソフラボン還元酵素とアミノ酸レベルで60%の同一性を示した.大腸菌系で発現したPTR1とPTR2は,NADPH存在下で(-)-medicarpinからvestitolの変換を触媒した.一方,リグナンや2'-hydroxyformononetinを用いたアッセイでは生成物は見られなかった.以上より,PTR1とPTR2がプテロカルパン還元酵素活性を持つことがわかった.ミヤコグサ幼植物体ではPTR遺伝子は常に発現し,vestitol生合成のエリシターである還元型グルタチオン処理による発現誘導はみられなかった.今後,酵素反応の速度論的解析や,ミヤコグサ植物体や培養細胞での酵素活性と遺伝子発現の相関を検討し,PTRの植物細胞内での役割を明らかにする.
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© 2006 日本植物生理学会
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