日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Tos17を用いたトランスポゾンタギングによるイネ初期胚発生を制御する遺伝子の単離
杉山 夏紀北野 英己広近 洋彦*佐藤 豊
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p. 372

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抄録
高等植物の胚発生は茎頂分裂組織、根端分裂組織、表皮、維管束など将来の植物体を構成するのに必要な器官や組織を発生し、植物の基本的な体制を作り出す過程である。この間、位置情報の確立、軸決定、器官・組織の分化といった多くの重要な現象が短い期間に凝縮して進行する。イネでは多数の胚発生致死突然変異体が単離されており、これらのプロセスに多くの遺伝子が関与すると予想されている。本研究では特に胚発生初期における器官分化機構を明らかにすることを目的とし、器官分化に欠損のあるイネ胚発生致死突然変異体から原因遺伝子の単離を試みた。イネのレトロトランスポゾンTos17による挿入変異系統から球状型、棍棒状型、シュート欠損型など25系統について、M3世代において遺伝子型を決定したM2世代のヘテロ型ならびに野生型の植物体を材料にTos17プローブにより連鎖解析を行った。その結果、球状型を示す突然変異体1系統において新規の転移によりコピー数の増加したTos17のバンドと遺伝子型が完全に連鎖していた。そこで、このTos17の近傍DNA断片を回収し塩基配列を決定したところ、遺伝子領域にTos17が挿入されていることが明らかになった。また、似た表現型を示す別の球状型変異体2系統についてもこの遺伝子領域中に変異を見出した。本発表ではこの遺伝子の予想される機能について報告する。
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© 2006 日本植物生理学会
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