抄録
RSG は、ジベレリン(GA)内生量を制御する bZIP 型転写因子である。RSGの機能が抑制された形質転換タバコは、GA内生量が低下し、矮化した表現型を示した。全6種の GA 生合成酵素遺伝子の発現量を解析した。その結果、RSG は NtKO を標的遺伝子としてGA生合成を制御する事が明らかとなった。
GA内生量の低下した形質転換タバコにおいて GA3-oxidase (Nty2) 遺伝子は、発現量の増加が認められたが、 GA20-oxidase(Ntc12)遺伝子は、発現量の増加が認められなかった。また、RSG-GFP タンパク質を用いた解析から、RSG はGA 内生量の低下にともない核に蓄積し、GA の投与により速やかに核から細胞質に移行する事が明らかとなった。これらの結果から、RSGは、GAによる Ntc12 遺伝子のフィードバック制御に関与する可能性が考えられた。
さらに、 Ntc12 プロモーターの下流に GUS 遺伝子を組み込んだ形質転換植物を作製し、フィードバック制御に必要なシス領域を探索した結果、フィードバック制御に必要なシス領域 200 bp が明らかになった。更に、ゲルシフト法によりそのシス領域中にRSG の結合配列を見出した。RSG結合配列に点突然変異を導入した Ntc12 プロモーターはGAによるフィードバック制御を受けなくなった。以上より、RSGのNtc12遺伝子のフィードバック制御への関与が示唆された。