抄録
イネのサイトゾル型グルタミン合成酵素(GS1)には、OsGS1;1、OsGS1;2、OsGS1;3の3遺伝子が存在する。OsGS1;1とOsGS1;2は供試した全ての器官で、また、新たに見出されたOsGS1;3は主に頴果で発現する。本研究では、頴果における3種のGS1の生理機能の解明を目指し、登熟過程の頴果における各OsGS1の発現解析を行った。
開花後0、5、10、15、20、25日目のNipponbare頴果を用いて、リアルタイムPCR法により、各OsGS1 mRNAを定量的に解析した。その結果、開花後0~5日目にはOsGS1;1 mRNA、開花後20~25日目にはOsGS1;3 mRNAが主に蓄積していた。また、各OsGS1のプロモーター下流にGUSを連結した融合遺伝子を導入した形質転換イネを作出し、開花後5、10、15日目の頴果についてGUS活性を検出して各OsGS1の組織内分布を解析した。その結果、OsGS1;1・OsGS1;2は背部大維管束の通導維管束群及び珠心表皮、珠心突起で主に発現していた。OsGS1;3はこれらの細胞群に加えて、小維管束でも発現が観察された。今後は、転写産物及びGS1タンパク質の組織内分布の解析やGS1活性測定を行ない、登熟過程の頴果におけるGS1の生理的意義を論議する予定である。