抄録
3種のイネのサイトゾル型グルタミン合成酵素(GS1)遺伝子のうち、OsGS1;1遺伝子上にレトロトランスポゾンTos17が挿入された遺伝子破壊変異体を得た。この変異体は、GS1含量が減少しており、GS1活性も著しく低下していることを昨年度報告した。この変異体を用いて、GS1;1の機能解析を行った。
この変異体を、異なる窒素源を用いて栽培したところ、NH4+が存在する条件では、葉身の抽出が滞り、成育が遅延した。これに対し、NO3-のみの条件では、野生型に近い成育をした。NH4+投与後48時間の変異体の葉身のアミノ酸蓄積量を測定したところ、GS反応の生成物であるグルタミンが減少していた。これに伴い、総アミノ酸含量も減少していた。また、基質であるNH4+蓄積量は、増加していた。葉身を切片化し、組織を観察した。結果、変異体は木部や厚壁組織の発達が異常であった。変異体と野生型の転写産物蓄積量の違いを、マイクロアレイを用いて解析した。シグナル強度比3倍以上の増減が認められた遺伝子数は、第3葉身で67、第3葉鞘で35、根で98であった。詳細は現在解析中である。
変異体が特にNH4+存在条件下で、正常に成育できないことから、GS1;1の機能は他のGS1や他の代謝系では相補できないことが判明し、イネのNH4+同化においてGS1;1は極めて重要な役割を担っていることが明らかとなった。