抄録
ムラサキ科の多年生草本ムラサキは、ナフトキノン系赤色色素であるシコニンを根の表皮細胞で特異的に生産し、根皮に蓄積する。そのシコニン生合成経路において鍵酵素とされているのがp-ヒドロキシ安息香酸(PHB) ゲラニルトランスフェラーゼ(LePGT)であり、ユビキノン生合成系の膜結合性プレニル基転移酵素のファミリーに属する。ただし、LePGTは他のメンバーと異なりgeranyl diphosphate (GPP)のみを特異的に基質として認識するという特徴を有する。LePGTは307アミノ酸から成る9回膜貫通領域をもつ膜タンパク質であると予測されている。従前は酵母をホストとして機能解析が行われてきたが、その発現レベルは高くはなく、X線構造解析には不適当と考えられた。そこで昆虫培養細胞系(Sf9)でLePGTの機能的大量発現及び精製を試みた。その結果、Sf9にて発現したLePGTは酵母をホストとした時よりもはるかに高い比活性と十分な発現量を示し、かつ活性を保持した状態での可溶化が可能であることが明らかになった。His-tagを付加したLePGTを可溶化後、Ni-NTA-Agaroseによりアフィニティー精製を試みたところ、CBB染色にてLePGTの単一なバンドを検出することができた。現在、その精製タンパク質を用いて酵素化学的解析を行う一方、結晶化に向けた条件検討を行っている。